妊娠と糖尿病の関連で言いますと、妊娠をきっかけとして血糖値が高くなる「妊娠糖尿病」と、妊娠以前から糖尿病の女性が妊娠する「糖尿病合併妊娠」の二つがあります。
以下、各々の項目で詳しくご説明いたしますので、ご参考になさってみてください。
妊娠糖尿病とは、それまで糖尿病でなかった人が妊娠をきっかけとして、血糖値が高くなる症状が発症することを指します。妊娠をすると胎盤から血糖値を上げやすいホルモンが出て、このことによってインスリンの作用が弱まり、血糖値が上がりやすい状態になります。
妊娠中後期は、普段よりも多くの量のインスリンが体内で必要とされます。しかし、インスリンが足りないと、高血糖となり糖尿病を発症する場合があります。
ちなみに、妊娠以前から糖尿病の人が妊娠することは「糖尿病合併妊娠」といいます。「糖尿病合併妊娠」については、下記にてご説明しています。
妊娠糖尿病により血糖値が高いと様々な症状が現れます。例えば、早産や妊娠中毒症、胎児が巨大児(4000g以上)になったり、難産となったり、新生児の低血糖が起きやすくなるなどします。出産後は自然に治ることが多いのですが、本当の糖尿病になる可能性もあります。
妊娠糖尿病の原因としてあげられるのは、お菓子や果物食べ過ぎによる糖分の取りすぎです。食事は栄養のバランスを考えて、糖分の取りすぎに注意をします。妊娠中の食事は、栄養バランスがとれていてローカロリーでもある和食がベストです。どうしても甘いものを食べたいときは、食事後にデザートとして果物などを適度に食べる範囲にしましょう。
血糖値をコントロールする方法として、食事と共に適度な運動をすることも効果的です。もちろん妊娠中はあまり激しい運動はいけませんので、散歩なのどのウォーキングやマタニティスイミングなどで体調を整えましょう。特にウォーキングは簡単に取り組める運動ですのでお薦めです。
妊娠以前から糖尿病を発症していた女性が妊娠した場合、糖尿病合併妊娠となります。
糖尿病合併妊娠の危険性としては、妊娠した女性に、妊娠高血圧、早産、羊水過多症、糖尿病性ケトアシドーシスなどがあります。
●糖尿病性ケトアシドーシスとは、高血糖により、全身の嫌悪感、激しい腹痛、さらには睡状態に陥ることがある症状です。
●羊水過多症とは、羊水が多くなってしまうことで母体に悪影響を及ぼすことで、羊水過多症の症状としては、子宮が膨らみ、下半身にむくみや痛みが発症します。また、呼吸が苦しくなる場合があります。
母体が高血糖である場合、先天奇形になる確率が高く、巨大児になっていれば、産道の抵抗が大きくなり、赤ちゃんに頭血腫などが起こることもあります。帝王切開率が高くなり、産道裂傷などの危険も高くなります。
逆に低出生体重児になる危険性もあります。赤ちゃんが低血糖などになりやすくもあります。ですから、糖尿病の女性は妊娠前、妊娠中を通して、食事や運動で、血糖値をコントロールしておきたいものです。
また、妊娠前に、糖尿病性網膜症や腎症などにもかかっていないか検査し、もしかかっているのでしたら治療することで、妊娠してよい状態にしておきましょう。
食事療法は妊娠中であっても、血糖値のコントロールの基本となります。
お母さんだけでなくおなかの赤ちゃんのためにも規則正しく栄養バランスの取れた食事が大切です。
出産後の母乳によって赤ちゃんへインスリンは移りませんんので、安心して母乳による授乳をしていただいて問題ありません。
ただ、母乳を与えることでエネルギーを消費しますので、お母さんは低血糖になりやすくなります。食事による血糖値のコントロールは続けるようにしましょう。
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